第九話「一以て之を貫く」

第九話「一以て之を貫く」
 
 
今回は、論語から曾子(そうし)について。
論語についての前知識は、前回の第八話をご覧ください。
僕自身が、學ぶ上で一番励まされた人物が曾子でした。
曾子は、どんな人物か。本文を交えながら説明しますね。

曾子曰く、(そうしいわく)
吾(われ)日に吾(わ)が身を三省(さんせい)す。
人の為に謀(はか)りて忠ならざるか。
朋友(ほうゆう)交りて信ならざるか。
習わざるを傳(つた)うるか。
 
 
 
曾子が言った
(私は毎日、自分を見直して、よくないところを省いている。
人のためを思って真心からやったか。
友達と交わって、嘘偽りはなかったか。
まだ、習得しないことを人に教えるようなことはなかったか」
 
 
 
何となく、この文面から曾子の人となりが見えてきますよね。毎日、コツコツ、そんな人物。
 
 
 
その曾子のことを、孔子は、すこし魯(のろま)なやつだ。と言っていた。
孔子とは、46歳も歳の離れた、孫くらいの弟子でした。
 
 
  
 
ある日、弟子たちが集まっている部屋で孔子が話をしていたときのこと、
 子曰(のたまわ)く、
(しん)や、吾(わ)が道は一(いつ)以(もっ)て之(これ)を貫く。
曽子曰(い)わく、唯(い)。
子出(い)づ。門人問うて曰(い)わく、何の謂(いい)ぞや。
曽子曰く、夫子(ふうし)の道は、忠恕(ちゅうじょ)のみ。
 
 
 
解説
孔先生がおっしゃった。
参(曾子)よ、私の道は1つのことを貫いている。わかるか?と聞くと
曾子は、歯切れよく「はいっ」と答えた。
そして、孔子は曾子の眼(まなこ)をじっと見つめ、こいつはわかっている。とわかり、その部屋を出て行った。
 
しかし、わからないのは他の弟子たちだ。
孔先生が、部屋から去った後、曾子に尋ねる。
すると、「先生の道は忠(まこと)と恕(おもいやり)で貫いております。」と迷いなく答えた。
 
    
 
仁(じん)というのは、論語では大事な言葉です。思いやりという意味がありますが、そうではなく曾子は、自分の言葉で、忠恕(ちゅうじょ)のみ。と答えたんです。 
 
 
 
 
僕はね、曾子に勇気をもらったんです。
弟子の中でも、ちょっとのろまと言われていた曾子。
 
 
 
 
だけどね、のろまだからこそ、すぐにわからないからこそ、毎日毎日考えて考えて考えて。
そうして、孔子にわかるか?と聞かれたときに、パッと閃いたのです。
 
 
 
 考え抜くと、パッと閃くことがある。
 そして、後に孔子の意志を継ぎ、誰よりのろまだった、曾子が大學という書物を編纂する。
 
 
 
更に、孔子の孫である子思(しし)を教育し、
子思は後に中庸(中庸)という、天に通ずる書物を編纂していくのである。
 
 
 
 
代々、志をリレーする、その物語に、涙涙ですわ。ね!お弟子さんもステキな方でしょ?
これからも、一緒に勉強していきましょうね☆
 
 
一もって 貫く天の志
真正面から 受けて立つのみ 
 
  
 
読んでいただき感謝してます。ありがとう。
   
 
坂上太一拝

 

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コメント: 4
  • #1

    suminokaori (金曜日, 20 7月 2018 06:57)

    ん~考えさせられますね~
    なんだか、人を比べてはいけない?と思わされましたが間違ってる?
    常に人の良いところを見つけなければですね。まごころがそこからも生まれるのでしょうか?

  • #2

    坂上太一 (金曜日, 20 7月 2018 07:37)

    確かに、人はそれぞれ役割があるから比べるのはあまり意味が無いかもしれないですね。

    比べるとしたら昨日の自分だったりするのでしょうが。

    見方を変えると、欠点は長所になったりしますよね。
    更に、そこに時間を加えてみる。例えば、梅干しは青いまま食べたら腹を下してしまうけど、熟成させたら身体にいいものになってしまう。


    のろまも、ある意味才能に変わるんですよね☆


    ただ、なんでもかんでも良いところを見つけようとすると、自分が苦しくなることもある。
    自分の感情をわかってあげることも、大事なことだと思いますよ。

    まずは、良いも悪いも関係なく感じ尽くすのがいいのでは?
    僕なりのお答えです☆

  • #3

    sora (金曜日, 20 7月 2018 08:08)

    のろま とは 丁寧 だってことだと思ってます。


    忠恕

    字を見るだけでなんでこんなに感動してしまうんだろう。
    太一さんの言葉とあいまってそう思えるんだろうな。

    これからも楽しみにしてます。

  • #4

    坂上太一 (金曜日, 20 7月 2018 08:14)

    丁寧、そうかもしれないですね。
    コツコツ一貫、そういう継続させる才能を持っていたんでしょうね(^-^)

    感動するのはsoraさんの中に、確かに在るものだからですよ、きっと☆

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